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自由帖

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袖井林二郎『夢二 異国への旅』

1933年1月末(推定)にベルリンの地を踏んだ画家、竹久夢二。
2月から、ベルリンの美術学校「イッテンシューレ」で講義を担当していた夢二の軌跡を知るために講読。
人となりも垣間見えてきて、面白かった。
夢二の絵画といえば、なよっとした、憂いをたたえた妖艶な女性の姿だろう。
こういう女性が理想だったのかなぁ。
まあ底抜けに明るくて肉感的で強そうな女性よりも、こういう、静かな弱々しい艶めかしさが良かったんだろう。
まあかなりリビドーの強い男性で(芸術家なら珍しくなかろうが)、お金がないにもかかわらず、異国の地で女性を買っていたことなどが記されている。こういうことまで記録に残している夢二もなかなかマメだ。
でも、芸術論はさすがに芯が強い。
我々日本人はあんたがた(ヨーロッパ人)から沢山のことを学び採り入れてきた。しかしあんたがたは、日本から何も学ぼうとせんかったでしょ、みたいなことを講義の中で言っている。日本にはこういうすばらしい美があるのだと。
こういうことをちゃんと対等に言えることが、国際人としては大事だ。迎合するのではだめなのだ。

1933年1月31日といったら、ヒトラーがヒンデンブルクによって首相に任命される年。
その後、ナチスが力を増大させてユダヤ人迫害が激化する。
同盟を結んでいた日本からの客ということで、ヒトラーに影響を与えることができるのではないかと
ユダヤ人問題の現状に夢二への貢献が期待されていたとか、夢二がユダヤ人を救ったとか、「日本のシンドラー」とか呼ばれて、1980年代以降日本で持ち上げられた。それは史実として確証が取れないと、この本の著者は書いている。
日本人って、こういうミーハーなノリが好きですよね。

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