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川上未映子『乳と卵』

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やっと読めた、川上未映子の『乳と卵』。
2008年の芥川賞受賞作品だ。
大阪弁の独特の文体。
淡々と綴られる母娘の人間模様。
豊胸手術をしたい母巻子と、思春期の娘緑子。
二人が、東京に住む巻子の妹、つまり緑子の叔母のところへやってきた。
そこで爆発する、娘の母に対する思い。

やわらかい言葉と、最後のクライマックスのドラマ的高揚のギャップがいい。
卵は、年頃の娘が思いを巡らせる人間の性、特に女性の肉体に宿る卵子のことだけではなくて、
クライマックスの場面で、娘が母への思いをぶつける場面で、自分の頭を卵でぐっちゃぐちゃにしてしまうところにも関係してくる。

語り口調を読んでいてすぐに連想したのが、ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』に登場するモリー・ブルーム。
内面にわき起こる想念を、そのまんま言葉にして、句読点がないままずーっと続くモリー・ブルームの言葉。
川上未映子の場合は、読点はあるものの、思い浮かんだまんまに言語化したような文章で、時に一頁の中で一文が終わらないことも。自然な文体。そこに大阪弁が入ってくるから、より自然さが際立つ。

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