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夢野久作の「能とは何か」

今、ひょんなことで能について調べている。

論文にもどうにか使えたらと思っている。

知れば知るほど、奥深い能の世界。

ロバート・ウィルソンが何をやりたかったのか

少し理解が深まった気がする。

表現されえないものの中で表現されるもの。

見えないものの中から見えるもの。


いちいち全てを視覚化しないということは、

観る方に、受け止めるだけの能力、

さらに、受容したものから意味を汲み取ったり、あるいは意味の世界を創造したりする

感性の鋭さと積極的な参加が要求される。



で、今日もネットサーフィンしながら能について調べていたら

夢野久作がエッセイ的なものを書いているのを青空文庫で発見!

これがまた非常に面白い。

6,7年前になるだろうか。

「ドグラマグラ」で、夢野久作の、あの独特の奇妙奇天烈な世界に魅了された。

あの、もうなんともいえない節回しというか、

絶妙な具合の表現や擬態語が癖になる。

で、能のエッセイの内容がまたすばらしい。

能の美学の本質をずばり、しかも非常に具体的に分かりやすく説明している。

そして、自分にはその魅力を、どうにも表現できない、

と言いながらも、

いかに能が魅力的な、日本の誇るべき芸術であるかを

例の独特な文体で書き綴っている。

変わったことをいっぱい書く人だけど

文章からは、謙虚さと、むやみやたらに軽々しく云々述べるなぞ畏れ多い

ぐらいの、能に対する畏怖の念のようなものを感じました。

よく分かっている人の文章ほど、こういう謙虚さを感じます。

逆に、よく知らない人ほど、難しい表現を並び立てて虚勢を張ったり、

知ったかぶりしたりするように思います。



昨今のオペラ演出にも通じる内容で、

非常に勉強になりました。

引用日本には「能ぎらい」と称する人が多い。否。多いどころの騒ぎでなく、現在日本の大衆の百人中九十九人までは「能ぎらい」もしくは能に対して理解を持たない人々であるらしい。
 ところがこの能ぎらいの人々について考えてみると能の性質がよくわかる。
 目下日本で流行している音曲とか舞楽というものは随分沢山ある。上は宮中の雅楽から下は俗謡に到るまで数十百種に上るであろう。
 ところでその中でも芸術的価値の薄いものほどわかり易くて面白いので、又、そんなものほど余計に大衆的のファンを持っているのは余儀ない次第である。つまりその中に「解かり易い」とか「面白い」とか「うまい」とか「奇抜だ」とか「眼新しい」とかいう分子が余計に含まれているからで、演者や、観衆、もしくは聴衆があまり芸術的に高潮せずとも、ストーリーの興味や、リズムの甘さ、舞台面の迫真性、もしくは装飾美等に充分に酔って行く事が出来るからである。



オペラと相通じるところもあれば、対極的なところもあります。

夢野久作のおかげで、ますます能が面白くなってきました。

次は「風姿花伝」にチャレンジです。


海外でも関心を寄せる人は多いけれど、

日本人にしか分からない何かがきっとあるような気がする。

言葉では説明できない何か。

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