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Kupfers "Tristan" ②

ベルリンでのトリスタンについて、
クプファーがどのように発言しているかを
メモ程度にまとめておきます。
彼の『トリスタン』を理解することはもちろん、
彼の仕事のスタンスや、仕事にかける情熱がうかがい知れる
貴重なお話でした。
私は好きです。クプファーさん。



◆ドレスデン、マンハイムを経て三度目になる『トリスタン』
他の二つの演出とは異なる。
コンセプトも異なる。
ただ、ベルリンでの『トリスタン』は
前の二つの作品を発展させたものであり、
全く無関係であるというわけではない。

◆『指環』:大きなスケールで、最終的には神々の滅亡が描かれている。
『トリスタン』:心理的な次元。
人物たちは、社会のしきたりによって嘘をつくことを強いられる。
あるいは、嘘をつくことを強いられていると思い込む。

◆イゾルデの「愛の死」について

ハッピーエンドではない。全く逆である。
最も強い悲劇性から生まれたものである。
彼女は一人で現実の中にとどまるしかないと理解する。
そして、夢想・妄想の中に逃避しようとする。
しかし、それはIrrtum、過ちだったのである。

◆演出にかける時間

6-8週間

◆一つのプロダクションのコンセプトを作るのにかける時間

1年から1年半。
プロセスの中で、まず最初にすることは
とにかく、その作品の勉強である。
何度も、作品を読んで読んで読みまくる。
それから、何かアイデアが浮かんだら、
また、作品を読んで、そのアイデアと作品の整合性を検証する。

(あれほど読み替え演出をしてきた、ベルリンの前衛の演出家でも、
作品を読む、リブレットを読むということを第一に置いている。
アイデアはやっぱり作品から生まれるんだ。当たり前のことだけど。)

◆バレンボイムはどういう人か

最高の仕事のパートナー。
演出と音楽の分野を、二人で分かち合い、
時に役割を交換しあって、制作活動を行った。
クプファーとバレンボイムの間には
きわめて強い調和(Totale Uebereinstimmung)があった。
バレンボイムは音楽の面での演出家(Musikalischer Dirigent)だ。

◆最近の演出の傾向について

ほとんどは、前衛的・現代的なのではなく「ばかげた」(dumm)演出である。

歌っている人間、それが歌手。
演劇というのは、人間が演じるものだ。
その人間が何を歌っているのか、
何を主張しているのか、
それを理解し、舞台上に示すことが演出家の仕事だ。
視覚的な効果ばかりに頼ることは疑問。

世代によって、視覚的なものが意味するところ(Bildsprache)が違う。
だから、それはいつも模索していかなければならない。
しかし、最も重要なのは内容であって、外観ではない。

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