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レヴァイン・シェンクの『パルジファル』@メト



ワーグナー:舞台神聖祭典劇《パルジファル》 / レヴァイン(ジェイムズ)、メトロポリタン歌劇場合唱団 他

演出:オットー・シェンク(1993年)
パルジファル:ジークフリート・イェルサレム
クンドリー:ワルトラウト・マイヤー
グルネマンツ:クルト・モル
アムフォルタス:ベルント・ヴァイクル
クリングゾル:フランツ・マツーラ
ティトゥレル:ヤン・ヘンドリク・ロータリング

《演出について》
先日観たヴォルフガング・ヴァーグナーの『パルジファル』以上に
オーソドックスな演出です。
何のひねりも入れないで、リブレットに限りなく忠実です。
余計なものはいっさい指しはさまない姿勢は徹底しています。
さすがはオットー・シェンク。
この人は、昔のものを昔のままに今に伝えるという使命を抱いていたのでしょうか。

舞台は、全幕通してほぼシンメトリー。これといったスペクタクルはなし。
ただ、クリングゾルの魔法の城がまたたく間に乙女たちのたむろする、ムンムンとした熱帯の花園へと変化した時にはおお!と思いました。
それから、第1幕と第三幕の儀式の際、聖杯に上から白い光が降ってくるのですが、霊験のあらたかさをうまく具体化していてはっとしました。
聖杯の国の扱いに多少のオリジナリティがあったように思います。

《音楽について》
レヴァインの指揮は、全体的に非常にゆっくりとしています。
それだけに、テンポアップした第二幕冒頭が際立っていました。
第1幕と第三幕での重厚な転換音楽がすばらしかった
いろいろ観て思うのは、レヴァインはゆっくりとしたテンポのものより、
華やかな、あるいは派手な音楽を盛り上げるところで本領を発揮する識者のように思います。
彼の振る『ローエングリン』なんて、もう最高ですね。

イェルサレムがイマイチ…
バイロイトでのパルジファルの方がずっとよかった。
第二幕など、声を張り上げて叫んでいる感じで、
個人的にはもっと歌で聞かせてほしいところ。
アムフォルタスの方がずっと共感できるし、好感も持てる。
ベルント・ヴァイクルの声の説得力は文句なし。
ヴァイクルは何をやってもセクシーだと思うのですが…
ちょい役のティトゥレルを歌ったロータリングが大変よかった。
威厳がそのまま声になったよう。
グルネマンツのクルト・モル。
好みの問題でしょうが、彼のくぐもった声にどうもひきつけられません。
このオペラは、出演時間という点ではグルネマンツがダントツ一番だから、
彼がイマイチだと、全体に対する印象がイマイチになってしまう可能性があります。
音楽上でも内容的にも、グルネマンツは非常に重要な位置を占めていますから。

一番はやっぱりマイヤー扮するクンドリー。
若かりし頃のマイヤーの美しいこと。
やっぱり、クンドリーは「絶世の美女」という設定なのだから、
ある程度美しい人がやってくれないと困る。
ドラマチックに苦悩をぶちまけるときの迫真の演技、
彼女を超えるクンドリーはなかなかいないのでは。
第二幕の娼婦的な彼女と、第三幕の生まれ変わった彼女は
同じ人が演じているとは思えないほどの、見事な演じ分け。
第三幕の彼女からは邪気みたいなものが抜け落ちて、
さらに美しさを増していました。

というわけで、今回の『パルジファル』はまあまあ、といったところです。

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