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アニー・エルノー『シンプルな情熱』

シンプルな情熱 シンプルな情熱
アニー エルノー (2002/07)
早川書房

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官能小説!?みたいな始まりだけど、
実は結構純粋なこの小説。
といっても、テーマはオトナ向けかな。
中年女性と彼女より10歳年下の妻帯者との関係を、
女の方が一人称で書き付けたもの。
恋にのめり込んだ女の(ほとんど執念深いほどの)パッション。
「これを読むと火傷する」と評した人もいるそうだ。
タイトルの「シンプルな」という形容詞が
いささか矛盾するようにも思える。
でも、きっとそれは書き方の問題なのだろう。表現の仕方。

部屋にあるものとか、街角で見たものとか、
テレビに映ったものとか、
要するに、何を見てもすべて彼につながってしまうような、
熱に浮かされたような、一種の病気になってしまったような、
彼一色に染まってしまった女の視点で、物事が淡々とつづられる。

今まで言葉にしたことはなかったけど、
書いてあるのを読むと、ああ…こういう感じだったんだなぁと、
妙にリアルに共感をもって響いてくる箇所があったりして。
たぶん、細かい描写の部分で共感を抱く読者は多いのでは。
ただただ淡々と、極めて率直に情念をしたためている。
というか、情念に燃えていたかつての自分を
冷静に分析してつづった、と言ったほうがいいかもしれない。
その素直な文体には好感が持てる。


彼女みたいに一人の人間を愛することは、
ものすごく忍耐のいることだし、
自尊心も何もあったものではないし、
第一、ものすごく傷つく。
得るものもあれば、それによって失うものもある。
だから、それにはとても勇気と覚悟がいる。
でも、人を愛さずにはいられない。

こういう主題はフランス文学やフランス映画には多い。
そういえば、この小説は映画化されてもいるらしい。
今度、レンタル半額デーに探してみようっと♪

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